世界選手権ロード、ITTイーサン・ヘイターのチェーントラブル考
自転車ロード世界戦が真っ直中。
って書き出しで始めたかったのだが、あれよあれよ、という間に終わってしまった。
すべての競技&カテゴリーが最高にエキサイティングで、あー楽しかった。
でも個人的にいくつかハイライトを挙げるとするならば、
- 女子エリートのアナミク・ヴァン・ヴルーテンのTTTでのクラッシュとロードでのサプライズ優勝
- 女子ジュニアのゾイ・バックステッドの2年連続圧勝と、日本の垣田選手の5位入賞
- 男子エリートのレムコ・エヴェネプールの覚醒的圧勝劇
といったところですか。女子ロード與那嶺選手及び男子ロード新城選手がどこまで持ち堪えられるか、というのも見ていて本当に手に汗握る、楽しみの一つでありました。
同時にエキサイティングなレースシーンとは別に興味深いトラブルがあったので、その話題を。
その内1つはイギリスはイーサン・ヘイター選手の個人TTでのチェーントラブル。ウェブの記事でその彼がトラブルの原因をシマノのシフターとしてディスる、みたいな事が書かれていましたが、どうも事の真相はもうちょっと深いようですな。
この記事に拠れば、トラブルの要因のまず1つ目は非シマノ純正部品である60Tx46T! のカーボンチェーンホイール(AeroCoach ARC Dual TT carbonというものらしいです)がフロントに使われていて、これはある一定のエアロ効果をもたらすもののシフティングに関しては、フロントインナーxリアトップ付近のチェーンラインでの使用をメーカーも推奨しない等、テクニカルには疑問の残る選択であったろうということ。

(photo: https://cyclingtips.com)
2つ目はこのバイクにはシマノの新しい シングルボタンシフターが使われていて、これはセミオートシンクロシステムと共用されていた、という。
何の事かというと、これはシフティングに関してライダー側はシフトアップとシフトダウンの2つの選択しか与えられていないシステムだという。
つまりフロントチェンリングをアウターで使うかインナーで使うかという選択はオートマチックシステムに委ねられているのだという。
繰り返すことになるが、 ライダーにはギアを重くするか軽くするか、の選択しかない。 え〜〜〜!
なので、何かの原因(おそらく上で挙げたチェーンホイールの相性などの要因)でチェーンが落ちてしまったものの、それを修正する手段が無かった、ということになる。
長年自転車に乗っておられる方々なら、万が一チェーンが落ちてしまっても(大抵はインナー側に落ちる)、フロントディレイラーを操ることで再びそのチェーンを拾ってチェーンホイールにのせる事ができるのは自転車乗りのテクニックとしてはマスターしておられるでしょう。
イーサン・ヘイターもチェーンが落ちた時にそれをしようとしたけど、上記で述べたシングルボタンシステムなので、どうしようもなかった。ということらしい。
それがこのコメント;
“Shimano don’t make chainring shifters on the new gears,” “I was trying to change chainrings and it wasn’t quite shifting, and I pressed it again and it dropped off.”
”シマノは新しい機材にはチェーンリングシフターを提供しないんだ” ”チェーリングを変えよう(フロントを変速しよう) としたんだけど、うまくシフトしなかった、それで(ボタンを)もう一回押したら、(チェーンが)落ちてしまった”
につながったようです。 彼のフラストレーションが伝わってくるようなコメントですな。
うーん、深い。 というか、最先端ギアの状況はスゴイ事になっておるなー、と関心させらる案件です。
80年代にフリクションシフトがSISになってカチカチシフトできるようになり、
その後シフトレバーがダウンチューブWレバーからブレーキレバー兼用になって手を離さなくても、ダンシング中でもシフトできるようになり、そしてまたブレーキが油圧ディスク方式になって、シフトが電動になって、アレもコレも・・・
そして今度はセミオートマチックシフティングですか・・。
レース機材の革新は確実に便利、高性能になっているとは思いますが、それはあくまでレースで有利になることを目的に開発されたもの。
ひとたびレースシーンから外れた自転車ライフをおくるヒトには無用の長物も多く。
そのあたりの話題はまた今度。